本当にあったリアルな怖い話・恐怖の事件 ~現代の怪談~

なんだかんだで生きている人間が一番怖い・現代の怪談ともいえる本当にあった怖い話や恐怖の未解決事件です。

富士山の樹海の自殺志願者は何に悩み追いつめられたのか

富士山麓の青木ケ原樹海は屈指の自殺の名所として知られる。

毎年10月に一斉捜索を実施しているが、そのたびに遺体が発見される始末。半数は身元不明のまま地元自治体に引き取られ、無縁仏として供養されるという樹海に関する文献をあたると、クマや野犬もいて食い散らかし、手や足がないさまもいるという、コワイ。死の原生林だけじゃなく、クマや野犬までいるのか。

自殺志願者たちは、そのことを知っているのだろうか。実は、私もかつてニ度ほど自殺したくなったことがある。1回は女性関係、もい1回は就職がらみで、このときは木に口ープを吊るすところまでいった。が、それでも何とかライターとして食っている。自殺志願など、やはり気の迷いなのじゃ・・・

何とか1人でも説得して、自殺を食い止めることはできないものか。少し飛躍し過ぎかもしれないが、自殺を考えるまでに追いつめられた人たちが何に悩み、私に何を話すかは大いに関心があった。

私は毛布、防寒具、方位磁石道標用の長さーキ口のビニールロープなどを車に詰め込み、青木ケ原樹海を目指して車を走らせた。青木ケ原樹海の入り口にあるバス停「風穴」前に到着多くの自殺者はここまでバスでやってきて、この停留所で下り立つのだ。車から降りてしげしげと停留所を見る。と、私の目に次のような文面の看板が飛び込んできた。

「ちょっと待て。君の人生は楽しいか、それと苦しいか。世の中は苦しいことばかりではない。楽しいことも多いはずだ。人生を楽しく過ごすために、もう1度よく考えよ。必ず何かが見えるはずだ」

美しい紅葉の観光地でもある青木ケ原樹海。バス停の向かいは家族蓮れなど大勢の観光客でにぎわっていた。しかし、その裏の顔はやはり紛れもない自殺の名所なのだ。とりあえず駐車場に車を止め、近くの店を訪ねる。ちょうど店の道路で男性が掃除をしていた。思いきって話しかけてみるか。

「すいません。私フリーライターの響波というもので、自殺志願者を説得しに来たんですが、見かけませんでしたか」

「いたよ、さっきまで。このベンチに3時間も座りっ放しだったんだ。紙袋一つだけ持ったスーツ姿の男の人でね。どうしたのと話しかけても返事もしないし、警察を呼んでる間にどっかへ行っちゃった。」

不審がられると思ったのに、あまりにもあっけらかんとした対応で、逆に面食らってしまう。それだけマスコミ慣れしているのだろう。その男性、Wさんによれば、自殺志願は見た目でわかるという。カメラも持たず、バッグ1つだけ持って、どこか寂しげ。売店の前にきても何もかわず観光客と違い明らかに表情が暗いらしい。

「前にも40の女の人が樹海に入っていってね。追いかけたら包丁を取り出してとめるんならここで死ぬと騒ぎ出して往生したよ。借金苦が原因らしいんだけど」

もちろん死体も見ている。白骨死体から死亡直後のものまで。運よく止められた自殺志願の中には立ち直ってお礼状を書いてくる人までいるらしい。失恋して自殺しようとした女性からの結婚報告や、経営不振の事業が一転波に乗り始めた等々。しかし、売店の前を通らず駐車場脇などから樹海に入った自殺志願はどうしようもない。

「カドに山ロナンバーの車が止まってるでしよ。7月ころに樹海に入っていったきり、出てこない。見た人の話だと、50才過ぎの男性でワインを飲みながら入っていたらしいけどね」

近くに寄ってみると、悲惨な状態で放置されているサニーがあった。フロントガラスが粉々、車体はへこみ、タイヤもバンクしている。中には雨に濡れた関東地図と、弁当箱や空き缶などが投げ入れられていたりボ口。

「最初は売店の前に止まってたんだけど、邪魔だからカドに除けたんだ」

Wさんの話は樹海が自殺の名所であることを伝えるのに十分だった。
周囲を見回しながら20分ほど歩いた。と、そこで3本のビニールロープは申しあわせたようにとぎれていた。前を見ると土手のようなものがあって、車が走って行く音が聞こえる。そのとき、前方に懐中電灯とバッグがーつ、泥だらけのメガネも落ちているのに気ついた。なんだ、これは。バッグの中を見るとT字カミソリとスプーンが入っている。雨にさらされたせいなのかバッグはパリバリだ。
誰が捨てたんだろう。夜中に自殺志願者がやってきて、ここから入ったのでは。いや、そうに違いない。目の悪い人が決死の覚悟でメガネと懐中電灯を捨てていったのだろう。と、するとこのスプーンは何だ。最後の晩餐をここで済ませたのか。思わず、周辺の樹海を見る。が、何も変わった様子はない。こうなると樹海の中に入っていきたくなるが、あいにく口ープは途絶えているり周辺も薄暗くなっていた。これは明日調査した方が賢明だろう。私は元来た道を引き返した。男性のAさんに樹海の中で懐中電灯とメガネを見つけたと話すと、Wさん同様こともなげに

「近くにいるだろね。一斉捜索からーカ月も経ったから、また入る人がいてもおかしくないし」

Aさんもまた何人もの自殺志願者を保護し、遺体を多数見てきたという。これまで「見なかったことにしてくれ」と話す30代男性の自殺志願者を樹海の中で40分も説得したとか、「大丈夫、大丈夫」と入って行った女性の死体を翌日に発見したとか、ときには「オレの客が死んだ」と青さめて樹海から下りてきたタクシー運転手について行くと腐りかけの死体を発見したこともあったという。

「不思議なことに私たちは何度も樹海の中を歩いてるのに、死体の第1発見者になったことはないんだよ。たいてい観光客が面白半分に樹海の中に入って行って、死体を偶然見つけてくるんだ」その他自衛隊が毎年6月ごろにジャングルを歩行訓練をするので、その際にも多数の遺体が見つかるという。
近ぐの民宿に1泊し、翌朝9時に昨日の場所に急行する。もちろん方位磁石と道標用のビニールテープを持参、手には軍手をはめている。山道まで行くと、昨日と同じようにバッグとメガネと懐中電灯が落ちていた。さっそく近くの木に口ープの端をはり付け、樹海の中は足場が柔らかく落ち葉に隠れた済石の階問に足を取られそつになる。とりあえず足を踏み出した方向に歩くしかない。周囲は石で覆われ、植物の根が露出して絡み合い、木の枝は奇妙に曲がりくねっている。静まった枯れ枝を踏む自分の足音を聞いてると、バケモノでも出そうだ。しかも近くに遺体があるかもしれないと思っと、ふと見た木の幹や岩の窪みが光線の加減で人間の頭に見天その都度ドキッとさせられる。風がゴワゴワと枝を揺らせば、上から首吊り死体がっな錯覚にもとらわれる。

振り返ると、通った跡を示すビニールテープが樹海をグニャグニャ曲がりくねっていた。まっすぐ進んできたつもりなのに・・

100メートル入れば方向感覚を失うというのは本当だった。そのとき、50メートルほど先の木と木の間に黄色の口ープのような物が張られているのを発見した。何だ。近くに緑のジャンパーのような物も見える。まさか。ドキドキしながらその方向へ歩き出す。近くまで行くと、ジャンパーの正体がわかった。テントだった。ほっと一安心していた。正直もういい、ここはライターが好奇心だけで来るような場所ではないのだ。